VTuber(バーチャルYouTuber)マーケティングとは、バーチャルモデルのキャラクターを活用してYouTubeなどを中心にマーケティング活動を行うことを指します。
VTuberをマーケティングに起用することで、視聴者と関係構築しやすく、特にZ世代に訴求しやすいのがメリットです。その一方で「VTuberをどのように選定すればよいのか?」「始めるには何から取り組めよいのかわからない」といった課題を持っている方も多く、VTuberマーケティングに取り組むには専門知識が必要です。
本記事では、VTuberマーケティングの概要やメリット・デメリット、始め方、活用事例を解説します。
VTuberマーケティングとは
VTuber(バーチャルYouTuber)とは、2Dや3Dのバーチャルモデルのキャラクターを用いて配信や投稿などの活動をしている配信者のことを指します。商品・サービスの紹介やキャンペーンの実施など、VTuberを活用したマーケティング活動を「VTuberマーケティング」と呼びます。
VTuberの視聴者は若年層が多く、Z世代に訴求する際に適しているマーケティング手法です。VTuberマーケティングでは、キャラクターの姿で配信するので、ユーザーに親近感を持ってもらいやすく、関係性を構築しやすいメリットがあります。
VTuberの市場規模
VTuberの国内市場規模は拡大傾向にあり、株式会社エビリーの調査では企業とタイアップ動画への起用も増加しています。2021年はゲーム・Webアプリジャンルでは466本だったのに対して、2022年は945本と2倍以上増加し、ゲーム・Webアプリジャンル以外でも2021年277本だったのが2022年は439本となっています。
出典元:2022年版!VTuberのバズるポイントは?最新トレンド調査
VTuberはキャラクターとしての魅力のほかに、人間味のあるやり取りができるインフルエンサーとしての役割も持ち合わせているため、今後もプロモーションなどに積極的に起用されることが考えられます。今後もVTuber市場の拡大が期待できるでしょう。
VTuberマーケティングに向いている企業
VTuberマーケティングに適しているのは、以下の商材やサービスを扱う企業です。
- ゲーム・アプリ
- 化粧品
- アパレル
- 食品
- 観光業
アニメのようなキャラクターを用いているため、ゲームやアプリとの親和性が高いのが特徴です。近年では化粧品やアパレルなどのジャンルとのタイアップや、インバウンドを狙った観光業でのプロモーションも増加傾向にあります。
VTuberマーケティングのメリット・デメリット
VTuberを活用してマーケティングを行うメリットとデメリットを解説します。
メリット
VTuberマーケティングのメリットとしては、以下があげられます。
- SNSと親和性が高く、UGCが発生しやすい
- 若年層の視聴者が多く、Z世代に訴求しやすい
- ブランディングにつながる
VTuberの視聴者層は10代~20代の若年層が多いため、Z世代をターゲットにした商品やサービスの認知拡大やブランディングに適しています。YouTubeを中心に発信しており、ファンによるUGCが発生しやすいメリットがあります。
デメリット
VTuberマーケティングのデメリットは、以下のとおりです。
- アプローチできる層に偏りがある
- VTuberのキャラクターにイメージが左右される
- マーケティングを成功させるには専門知識が必要
VTuberマーケティングは若年層に訴求しやすい一方で、ターゲットが偏ってしまうデメリットがあります。キャラクターによって商品やサービスのイメージが左右される恐れがあるので、VTuberの選定は慎重に行う必要があります。
またVTuberマーケティングを成功させるには、視聴者層の好みやキャラクターの理解のほか、2023年10月に試行されたステルスマーケティングの知識を持っておくことが欠かせないでしょう。
VTuberマーケティングの始め方
VTuberマーケティングを実施するには、以下の3つの方法があります。
- インフルエンサーマーケティング会社に依頼する
- VTuberの所属事務所・キャスティング会社に問い合わせる
- 自社でVTuberを制作する
それぞれ解説します。
インフルエンサーマーケティング会社に依頼する
インフルエンサーマーケティング会社のなかには、VTuberマーケティング事業を展開している場合もあります。例えば、以下の企業に依頼することが可能です。
企業により対応範囲は変わるものの、一般的にインフルエンサーマーケティング会社ではVTuberの選定や配信の企画立案などを依頼できます。VTuberに関する知識やノウハウがない場合は、インフルエンサーマーケティング会社への依頼を検討するとよいでしょう。
VTuberの所属事務所・キャスティング会社に問い合わせる
知名度が高く人気のあるVTuberに依頼したい際は、VTuberの所属企業に問い合わせてみましょう。例えば、宝鐘マリンや兎田ぺこらが所属しているホロライブや、にじさんじプロジェクトを展開するANYCOLORがあげられます。
また、VTuberの選定が難しい際は、以下のようにVTuberのキャスティング会社を利用して探すのも一つの方法です。
マーケティングの目的にあわせてVTuberを選定してもらえるので、まずは相談してみましょう。
自社でVTuberを制作する
引用元:「VTuber制作プラン(3D・2D)」 | Too
中長期的にVTuberマーケティングの実施を考えている場合は、自社の商品やサービスのイメージにあわせたオリジナルのVTuberを制作するのも良いでしょう。例えば、以下のような制作会社に依頼することが可能です。
ただしオリジナルのVTuberを制作してマーケティングを実施する場合は、キャラクターの制作費やコンテンツ制作費がかかります。キャラクターの制作費としては、数万円から12万円程度かかるのが一般的です。さらに、コンテンツ企画の立案や運用体制の構築も必要となります。
費用対効果などを検討したうえで適した方法を選びましょう。
VTuberマーケティングの活用事例
VTuberをマーケティングに活用した事例を紹介します。VTuberマーケティングを検討する際に、お役立てください。
女性向けシャンプーの事例
女性向けシャンプーの「ululis」を販売するH2Oでは、人気VTuberグループ「にじさんじ」を起用してプロモーションを実施しました。コラボ生配信を実施したところ、最高で同時接続数約1万8000を記録し、SNSの投稿などUGCが約1万7000件発生、X(旧Twitter)のトレンド入りを果たし、大きな反響を得ることに成功しています。用意していた1200個の限定セットは、生配信からわずか10分以内に完売しました。
参考:日経X TREND|VTuber起用でシャンプーが完売 バーチャルでもZ世代に“爆売れ”
乳酸菌飲料の事例
引用元:株式会社ヤクルト|「ソフール」のテレビCMがスタート!CMキャラクターに内田有紀さんを起用!~人気VTuber「壱百満天原サロメ」さんも『天の声』で登場~
食品メーカーのヤクルトでは、ヨーグルトの「ソフール」のCMに人気VTuberの壱百満天原サロメを天の声として起用し、注目を集めました。 CMに好感を持った95%のモニターから商品を利用したいとの声が上がり、CMを見たユーザーに大きなインパクトを与えることに成功しています。VTuberを起用して、商品の好感度を上げた事例といえそうです。
若年層に訴求するならVTuberマーケティングを検討してみては
VTuberマーケティングは、Z世代を中心に訴求できるマーケティング手法です。VTuberはSNSとの親和性が高く、起用することでUGCが発生しやすいメリットがあるものの、成功させるにはキャスティングやコンテンツ制作など専門知識が欠かせません。
自社でコンテンツ制作や運用が難しい場合は、マーケティング会社に依頼したり、オペレーション業務など部分的に外注したりすることを検討するのもひとつです。自社に適した方法でVTuberマーケティングに取り組みましょう。