2024年4月、建設業、自動車運転業務（ドライバー）、医師にも時間外労働の上限規制が適用されました。これまで猶予されてきたこれらの業種にも、いよいよ働き方改革のメスが入ります。本記事では、時間外労働の上限規制の概要、特定業務別の注意点、企業がとるべき対策、そして業務効率化の切り札となるオンラインアシスタント「タスカル」の活用法について、詳しく解説していきます。
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労働基準法による特定業務の時間外労働上限適用について
出典：厚生労働省｜建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 （旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務）
2024年4月から、建設業、自動車運転業務（ドライバー）、医師にも時間外労働の上限規制が適用されています。ほかの業種が2019年4月（中小企業は2020年4月）から時間外労働の上限適用が開始されたのに対し、これらの業種は5年の猶予が設けられていました。すぐに適用されなかったのは、業務の特性と社会的な必要性によるものです。
建設業は天候に左右されやすく、現場ごとの条件も異なるため、労働時間の計画的な管理が困難です。自動車運転業務は、物流を支える長距離輸送が不可欠で、荷待ち時間などの商慣行も影響しています。医師は、応召義務や緊急対応が求められ、地域医療を維持する地方勤務の医師一人ひとりの負担が大きくなりがちという特性があります。
これらの事情から、直ちに上限規制を適用すると業務に支障が生じ、国民生活に影響が出かねないため、各業界が働き方改革を進めるための猶予期間が設けられたのです。
ここでは、猶予期間終了後の上限時間、適用除外となる業務の範囲について解説します。
参照：厚生労働省｜建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 （旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務）
猶予期間終了後の上限時間
| 特定業務 | 上限時間（原則） | 上限時間（特別条項） |
|---|---|---|
| 建設業 | 月45時間・年360時間 （災害の復旧・復興に関する業務は除く） | 月100時間未満、年720時間以内、複数月平均80時間以内 （災害の復旧・復興に関する業務は、月100時間未満、2～6カ月の平均80時間以内はの規定は適用されない。） |
| 自動車運転業務 （ドライバー） | 月45時間・年360時間 | 年960時間以内 （時間外労働と休日労働の合計に月100時間未満、複数月平均80時間以内は適用されない。 時間外労働が月45時間超を年6カ月以内ととする規定は適用されない。） |
| 医師 | 月45時間・年360時間 | 時間外・休日労働の上限が最大で1860時間 A水準：月100時間未満・年960時間以下（B水準・C水準の指定を受けていない医療機関） B水準：月100時間未満・年1860時間以下(連携B水準含む)（地域医療確保暫定特例水準） C水準：月100時間未満・年1860時間以下（集中的技能向上水準） ※時間外労働と休日労働の合計に月100時間未満、複数月平均80時間以内は適用されない。 ※時間外労働が月45時間超を年6カ月以内とする規定は適用されない。 |
参照：厚生労働省｜建設業・ドライバー・医師等の時間外労働の上限規制 （旧時間外労働の上限規制の適用猶予事業・業務）
適用除外となる業務の範囲
各特定業務において、一部の業務は時間外労働の上限規制の適用が除外されます。
- 建設業：災害の復旧・復興に関する業務は、上限規制の適用が除外されます。
- 自動車運転業務（ドライバー）: 新技術・新商品等の研究開発業務は除外となります。
- 医師: 高度プロフェッショナル制度の対象となる医師は除外となります。また、救急医療など、地域医療の確保のためにやむを得ない場合は、「B水準」や「連携B水準」「C水準」として指定を受けることで上限時間が変わる場合があります。
これらの適用除外の業務については、別途、労働時間や健康確保措置に関する定めがあります。
法改正後の注意点
時間外労働の上限規制が適用されたことにより、企業はいくつかの注意点に留意する必要があります。ここでは、36協定の見直しと特別条項、労働時間管理システムの導入・見直し、罰則規定の確認について解説します。
36協定の見直しと特別条項
まず、企業は自社の36協定が法改正に適合しているか確認しなければなりません。特に特別条項を設けている場合、その上限時間が改正後の内容に沿っているかどうかが重要です。
特別条項付き36協定では、原則の月45時間・年360時間を超える時間外労働が認められますが、業種や状況によって上限は異なります。例えば、建設業は年720時間以内、自動車運転業務は年960時間以内といった具体的な上限時間を自社に当てはめて確認し、協定内容がこれを超過していないか確認が必要です。
さらに、特別条項は臨時的な特別な事情がある場合にのみ設けることができ、恒常的な長時間労働を正当化するものではありません。「臨時的な特別な事情」とは、通常予見できない業務量の大幅な増加など、客観的に見て限られた状況を指すことを理解しておく必要があります。
36協定は労働者の過半数代表者との書面による協定が必要であり、所轄労働基準監督署長への届出も確実に行うことが求められます。
労働時間管理システムの導入・見直し
上限規制を遵守するには、正確な労働時間管理が不可欠です。労働時間管理システム未導入の場合は導入を検討し、既に導入済みの場合でも法改正に対応した設定になっているか見直す必要があります。始業・終業時刻、休憩時間、休日労働時間などを正確に記録・管理できるシステムを選ぶことが重要です。
また、設定した上限時間を超えそうな場合に本人や管理者にアラートを出す機能は、超過勤務の防止に役立ちます。労働時間データを集計・分析する機能は、長時間労働の原因特定や改善策検討に活用できます。そして、システムが最新の法改正に対応しているかを確認することも忘れてはなりません。
罰則規定の確認
時間外労働の上限規制に違反すると、罰則が科される可能性があります。違反した場合、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります（労働基準法第119条）。
企業だけでなく、実際に指示を出した管理職なども罰せられる可能性があるため、注意が必要です。労働基準監督署から是正勧告を受けた場合は、速やかに改善措置を講じることが求められます。
上限規制の遵守は企業の義務であり、従業員の健康と安全を守る上で不可欠です。適切な労働時間管理を徹底し、法改正に対応した体制を構築しましょう。
企業がとるべき対策
時間外労働の上限規制に対応するため、企業はさまざまな対策を講じる必要があります。ここでは、労働時間管理の徹底、業務効率化の推進、人員配置の見直し、そしてアウトソーシングの活用について解説します。
労働時間管理の徹底
最も基本となるのが労働時間管理の徹底です。従業員一人ひとりの始業・終業時刻、休憩時間、休日出勤などを正確に把握し、記録することが出発点となります。
そのためには、タイムカード、ICカード、勤怠管理システムなどを用いて客観的な記録を残すことが重要です。自己申告制を採用している場合は、過少申告を防ぐための仕組みづくりが不可欠となります。
また、管理職は部下の労働時間を適切に把握し、必要に応じて業務分担の見直しや指示を行うなど、管理体制を強化することが求められます。従業員自身も自分の労働時間を意識し、長時間労働を是正する意識を持つことが大切です。
業務効率化の推進
業務効率化を推進し、限られた時間内で最大の成果を上げられるようにする必要があります。実現するには、不要な業務や重複している業務を洗い出し、削減・統合を検討することから始めます。
会議システム、チャットツール、プロジェクト管理ツールなどのITツールを活用し、コミュニケーションや情報共有を効率化することも有効です。さらに、業務手順を標準化・マニュアル化することで、誰でも一定の品質で業務を遂行できるような体制を整えることも重要になります。
人員配置の見直し
業務量に対して人員が不足している場合は、人員配置の見直しも検討事項となります。繁忙期や特定の部署に人員を増やす、部署間の異動や職種の変更により人員の偏りを解消する、といった対策が考えられます。また、一人の従業員が複数の業務をこなせるように育成する「多能工化」を推進することで、より柔軟な人員配置が可能になります。
アウトソーシングの活用
自社内での対応が難しい場合は、アウトソーシングの活用も有効な選択肢です。特にオンラインアシスタントサービスは、さまざまな業務を外部に委託できるため、業務効率化に大きく貢献します。
オンラインアシスタントサービスを活用するメリットとして、定型的な業務やバックオフィス業務をアウトソーシングすることで、従業員がより重要な業務に集中できる点が挙げられます。人件費、採用コスト、教育コストなどを削減できる点も魅力です。さらに、必要なときに必要なだけ業務を依頼できるため、繁忙期や人手不足の際にも柔軟に対応できます。
オンラインアシスタントサービスに依頼できる業務は多岐にわたります。例えば、データ入力、資料作成、スケジュール管理、メール対応などの事務業務、請求書発行、経費精算、記帳代行などの経理業務、採用代行、給与計算、社会保険手続きなどの人事業務、さらにはWebサイトのコンテンツ作成、更新作業、SNS運用などです。幅広い業務を委託できます。
オンラインアシスタントサービスの活用
ここでは、オンラインアシスタントサービスが特定業務の負担軽減にどのように役立つのか、具体的な事例やサービス選びのポイントについて解説します。
特定業務の負担軽減に繋がる具体例
オンラインアシスタントサービスは、特に時間外労働が問題となりやすい特定業務において、以下のような形で負担軽減に貢献できます。
- 建設業
- 書類作成・管理：現場作業員の名簿、見積書、請求書などの作成・管理の代行
- スケジュール管理：現場監督のスケジュール調整、会議の設定、出張手配などのサポート
- 情報収集: 建設関連の法改正情報、入札情報、競合他社の動向などを調査・収集
- 自動車運転業務（ドライバー）
- 運行管理サポート: 運行計画の作成、配車手配、運行記録の管理などをサポート
- 事務処理: 請求書発行、経費精算、給与計算などの事務処理を代行
- 顧客対応: 顧客からの問い合わせ対応、メール・電話対応などを代行
- 医師
- 事務作業: 診断書作成、診療報酬請求、電子カルテ入力などを代行
- スケジュール管理: 学会・研究会のスケジュール管理、出張手配、予約管理などをサポート
- 情報収集: 最新の医療情報、論文検索、翻訳などをサポート
オンラインアシスタントサービスの選び方
オンラインアシスタントサービスの各サービスには得意分野があるため、自社が依頼したい業務を得意とするサービスを選ぶことが大切です。例えば、建設業であれば建設関連の事務に強いサービス、医療機関であれば医療事務に特化したサービスを選ぶと良いでしょう。
料金体系もサービスによって異なるため、自社の利用頻度や予算に合った料金体系を選ぶ必要があります。時間制、月額制、成果報酬制など、さまざまな料金体系があるので、それぞれの特徴を比較検討し、自社に最適なプランを選びましょう。
個人情報や機密情報を扱う場合は、セキュリティ対策がしっかりしているサービスを選ぶことが不可欠です。情報漏洩のリスクを避けるためにも、セキュリティポリシーやプライバシーマークの取得状況などを確認しましょう。
導入実績や利用者の評判を確認することも重要です。実際にサービスを利用した企業の事例や口コミを参考に、信頼できるサービスかどうかを見極めましょう。
なお、多くのサービスではトライアル期間が設けられています。この期間を有効活用し、実際にサービスを利用してみて、自社の業務との相性や使い勝手などを確認することをおすすめします。
これらのポイントを総合的に考慮し、自社に最適なオンラインアシスタントサービスを選びましょう。
残業削減と業務効率化、両立の切り札！オンラインアシスタント「タスカル」で働き方改革を
時間外労働の上限規制を遵守するためには、36協定の見直しと特別条項の適切な設定、労働時間管理システムの導入・見直し、そして罰則規定の確認が不可欠です。さらに、労働時間管理の徹底、業務効率化の推進、人員配置の見直しといった具体的な対策を講じる必要があります。
これらの対策の中でも、特に有効なのが、アウトソーシング、とりわけオンラインアシスタントサービスの活用です。オンラインアシスタントサービスは、定型業務やバックオフィス業務を外部に委託することで、社員がコア業務に集中できる環境を整え、生産性向上に貢献します。
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