毎年やってくる年末調整業務。従業員の申告書チェックや計算、書類作成など、担当者の負担が大きいとお悩みではありませんか。そんな状況を解決できるのが「年末調整代行サービス」です。本記事では、年末調整代行の基本から、メリット・デメリット、費用相場、選び方、おすすめサービスまで、詳しく解説します。
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年末調整代行とは
年末調整とは、企業が従業員の毎月の給与から源泉徴収した所得税と、1年間の所得に基づいて計算した本来納めるべき所得税額との過不足を、企業が従業員に代わって精算する手続きのことです。具体的には、従業員から提出された各種申告書（扶養控除等申告書、保険料控除申告書など）に基づき、所得控除や税額控除を適用して正確な所得税額を計算し、過不足額を還付または徴収します。
年末調整代行（業務委託）とは、この一連の年末調整業務を外部の専門業者が代わりに行うサービスです。サービスを利用することで、企業は煩雑な年末調整業務から解放され、本来の業務に集中できるようになります。
年末調整代行に委託できる業務範囲
年末調整代行サービスに委託できる業務範囲は、一般的に以下のとおりです。
- 各種申告書の回収・確認
- 年末調整の計算
- 源泉徴収票の作成・発行
- 給与支払報告書の作成・提出（市区町村へ）
- 法定調書合計表の作成・提出（税務署へ）
- 従業員からの問い合わせ対応
これらの業務を全て委託する「フルアウトソーシング」のほか、一部の業務のみを委託する「スポット利用」など、企業のニーズに合わせた選択肢があります。
年末調整代行の委託先の種類
年末調整業務の主な委託先としては、以下の3つが挙げられます。
- 税理士：税務の専門家であり、年末調整業務に精通しています。税務相談や税務調査対応なども依頼できるため、税務に関する包括的なサポートを求める場合に適しています。
- 社労士：社会保険労務士は、労働・社会保険に関する専門家です。年末調整関係は、税理士の独占業務以外の給与・保険料の計算が中心となります。社会保険手続きや労務相談なども依頼できるため、人事・労務関連の業務を一括して委託したい場合に適しています。
- 経理代行サービス会社： 経理業務全般を代行するサービス会社の中には、年末調整業務に対応しているところもあります。税理士や社労士に比べて費用が比較的安価で、柔軟な対応が期待できる点がメリットです。ただし、税務や労務に関する専門性は、税理士や社労士に比べて限定的になる場合があります。また、税理士の独占業務などには対応できない可能性があります（社内に税理士有資格者などがいない場合）。
どの委託先を選ぶかは、企業の状況やニーズによって異なります。それぞれの専門性や強み、費用などを比較検討し、自社に最適な委託先を選びましょう。
年末調整代行のメリット・デメリット
年末調整業務を外部に委託することには、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。ここでは、それぞれの側面を詳細に解説します。
メリット
年末調整代行を利用するメリットは、主に以下の3点です。
- 業務効率化につながる
- コスト削減効果が期待できる
- 法改正などに対応でき、正確性が向上する
年末調整は、従業員から提出された各種申告書の確認、所得税額の計算、源泉徴収票や給与支払報告書などの作成といった、多岐にわたる煩雑な作業をともないます。これらの業務を代行サービスに委託することで、人事・経理担当者は、本来注力すべきコア業務（例えば、採用活動、給与制度の見直し、経費精算システムの改善など）に集中できるようになります。
また、代行サービスを利用するには費用が発生しますが、自社で年末調整を行う場合にかかるコスト（担当者の人件費、残業代、年末調整に必要なシステムの導入・維持費用、担当者への教育・研修費用など）を総合的に考慮すると、必ずしも代行サービス利用がコスト増になるとは限りません。特に、従業員数が少ない企業や、年末調整に関する専門知識を持つ担当者がいない企業の場合、代行サービスを利用する方が、トータルコストを削減できる可能性が高くなります。
さらに、年末調整は、所得税法、地方税法、労働基準法など、複数の法律に関する専門知識が必要な業務です。これらの法律は頻繁に改正されるため、常に最新の情報を把握し、適切に対応しなければなりません。
代行サービスの専門スタッフは、これらの法令に精通しており、最新の税法・労働基準法に基づいた正確な年末調整処理を行います。これにより、計算ミスや申告漏れによる税務署からの指摘、追徴課税のリスクを低減できるだけでなく、法改正への対応にかかる社内の負担を大幅に軽減できます。
デメリット
一方のデメリットとしては、以下の3点が挙げられます。
- 費用が発生する
- 委託先に情報共有・管理を行う必要がある
- 社内にノウハウが蓄積されにくい
代行サービスを利用する際には、当然ながら費用が発生します。多くの代行サービスでは、基本料金に加えて、従業員数に応じた従量課金制を採用しています。サービス内容や委託範囲によって料金は異なるため、複数の代行サービスから見積もりを取り、自社で年末調整を行う場合にかかるコストと比較検討しましょう。
また、年末調整業務を外部に委託する場合、従業員の個人情報（氏名、住所、マイナンバーなど）や給与情報などを代行業者と共有する必要があります。情報共有の方法（クラウドシステムを利用するのか、書面でやり取りするのかなど）、共有の頻度、セキュリティ対策（個人情報保護法への準拠、情報漏洩対策など）について、事前に代行業者と綿密に確認し、スムーズかつ安全な情報連携体制を構築することが不可欠です。
年末調整業務を完全に外部に委託してしまうと、社内に年末調整に関するノウハウが蓄積されにくくなる問題もあります。将来的に年末調整業務を内製化したいと考えた場合や、担当者が異動・退職した場合に、業務の引き継ぎが困難になる可能性があります。
代行サービスを利用する場合でも、例えば、一部の業務（従業員からの問い合わせ対応など）は社内で担当する、定期的に代行業者から業務報告を受け、内容を確認するなど、社内ノウハウの維持・向上に努めることが望ましいです。
年末調整代行の費用相場
年末調整代行サービスの費用は、主に「基本料金」と「従業員数に応じた従量課金」を組み合わせた料金体系が一般的です。
- 基本料金：年末調整代行サービスを利用する際に発生する料金です。代行業者によっては、月額料金として設定している場合もあります。基本料金には、システムの利用料や基本的なサポート費用などが含まれていることが一般的です。
- 従量課金: 従業員数に応じて変動する料金です。一般的に、従業員1人あたりの単価が設定されており、従業員数が多いほど総額は高くなります。従業員数が増えるほど1人あたりの単価が割引になる料金体系を採用している代行業者もあります。
ここでは、それぞれの料金項目と、従業員数別の費用相場、追加料金が発生するケースについて解説します。
従業員数別の費用相場
具体的な費用相場は、代行業者やサービス内容によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです（あくまで目安であり、詳細な料金は各代行業者にお問い合わせください）。
- 従業員10人：基本料金5,000円～10,000円 + 1人あたり1,000円～2,000円 = 総額15,000円～30,000円程度
- 従業員30人：基本料金5,000円～10,000円 + 1人あたり800円～1,500円 = 総額29,000円～55,000円程度
- 従業員50人：基本料金5,000円～10,000円 + 1人あたり600円～1,200円 = 総額35,000円～70,000円程度
上記はあくまで一例であり、従業員数がさらに多い場合や、後述するオプションサービスを利用する場合は、費用が変動します。
追加料金が発生するケース（オプションサービス）
基本的な年末調整代行業務に加えて、以下のようなオプションサービスを利用する場合は、追加料金が発生することがあります。
- 給与計算代行： 月々の給与計算も合わせて委託する場合
- 年末調整に関する相談対応：従業員からの問い合わせに、代行業者が直接対応する場合（基本的な問い合わせ対応は基本料金に含まれていることが多い）
- 特殊なケースへの対応：
- 年度途中の入社・退職者がいる場合
- 複数の勤務先から給与を得ている従業員がいる場合
- 住宅ローン控除の初年度申請など、複雑な手続きが必要な場合
- 書類の提出代行：
- 税務署への法定調書合計表の提出
- 市区町村への給与支払報告書の提出（通常は代行業務に含まれますが、一部代行業者ではオプション扱いの場合があります）
- その他
- 急ぎの対応を依頼する場合（納期が短い場合など）
これらのオプションサービスは、企業のニーズに合わせて利用することで、よりきめ細やかなサポートを受けることができます。
なお、年末調整代行サービスの費用は、一見すると高く感じるかもしれませんが、自社で年末調整を行う場合の人件費や、ミスが発生した場合のリスクなどを考慮すると、費用対効果が高い場合もあります。
年末調整代行サービスの選び方
年末調整代行サービスを選ぶ際には、複数のサービスを比較検討し、自社の状況やニーズに適したものを選ぶことが重要です。ここでは、具体的な選定ポイントと、サービス選びに役立つチェックリストをご紹介します。
選定ポイント
年末調整代行サービスを選ぶ際に、特に重視したいポイントは以下の4点です。
- 実績
- 対応範囲
- セキュリティ対策
- サポート体制
これまでの実績や得意とする業種・企業規模などを確認しましょう。実績豊富な代行業者であれば、さまざまなケースに対応できるノウハウを持っている可能性が高く、安心して業務を任せられます。ホームページで導入事例や顧客の声を確認したり、直接問い合わせて実績について質問したりするのもよいでしょう。
どこまでの業務を委託できるかも重要なポイントです。基本的な年末調整業務（書類の回収・確認、計算、帳票作成など）だけでなく、給与計算、従業員からの問い合わせ対応、税務署・市区町村への書類提出などに対応しているサービスもあります。自社に必要な業務範囲を明確にした上で、対応範囲が合致するサービスを選びましょう。
従業員の個人情報や給与情報を預けることになるため、セキュリティ対策は非常に重要です。個人情報保護法に準拠しているか、情報漏洩対策（データの暗号化、アクセス制限など）がしっかり行われているかを確認しましょう。プライバシーマークやISMS認証を取得している代行業者であれば、一定のセキュリティレベルが確保されていると判断できます。
自社に合ったサービスを選ぶためのチェックリスト
以下のチェックリストを活用して、自社に最適な年末調整代行サービスを選びましょう。
| チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 実績 | ・年末調整代行の実績は豊富か（実績年数、対応件数など） ・自社と同じ業種・規模の企業への導入実績はあるか |
| 対応範囲 | ・必要な業務（書類回収・確認、計算、帳票作成、給与計算、 問い合わせ対応、書類提出など）がすべてカバーされているか ・オプションサービスの内容は充実しているか |
| セキュリティ対策 | ・個人情報保護法に準拠しているか ・情報漏洩対策（データの暗号化、アクセス制限など）は十分か ・プライバシーマークやISMS認証を取得しているか |
| サポート体制 | ・導入時のサポート（初期設定、データ移行など）は充実しているか ・運用開始後のサポート（問い合わせ対応、法改正対応など）は充実しているか ・問い合わせ方法（電話、メール、チャット、オンライン面談など）は複数用意されているか |
| 料金 | ・料金体系（基本料金、従量課金、オプション料金）は明確か ・自社で年末調整を行う場合とのコスト比較を行い、費用対効果が見込めるか |
| その他 | ・担当者との相性は良いか（コミュニケーションがスムーズに行えるか） ・契約期間や解約条件は明確か |
おすすめの年末調整代行サービス5選
本記事では、特におすすめの年末調整代行サービスを5つ紹介します。それぞれのサービスが、どのような企業におすすめなのかを簡潔にまとめました。
- タスカル…年末調整を含むバックオフィス業務を外注したいスタートアップ企業や中小企業、個人事業主向け
- 経理外注・記帳代行センター…税理士の専門知識をもとに年末調整を含む経理業務を依頼したい企業、税務相談や税務調査対応も任せたい企業向け
- NTTマーケティングアクトProCX…年末調整業務をワンストップで任せたい、従業員数が多く、手厚いサポートやNTTグループの信頼性を重視する企業向け
- StepBase…年末調整だけでなく人事関連業務全般をまとめてアウトソーシングしたい企業、全国に拠点があるため地域密着型のサポートを求める企業向け
- CASTER BIZ（キャスタービズ）…年末調整を含むバックオフィス業務をオンラインで依頼したい、スタートアップ企業や中小企業向け
タスカル
| 料金（税込） | 特徴 |
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タスカルは、株式会社Colorsが提供するオンラインアシスタントサービスです。それぞれのクライアントに特化した専属チームを編成し、年末調整を含む経理、人事、総務、Webサイト運用など、バックオフィス業務全般をオンラインでサポートします。
「専門スタッフがいない」「バックオフィス業務が負担」「コア業務に集中したい」といった課題を抱えるスタートアップ企業、中小企業、個人事業主に特におすすめです。年末調整業務においては、書類のチェック、データ入力、計算などを依頼できます。
タスカルの強みは、柔軟性の高さです。事業の成長や業務量の変化に合わせて、プランや稼働時間を柔軟に変更できます。最初はスモールスタートで必要な業務だけを依頼し、徐々にサービスを拡張していくといった使い方も可能です。また、オンラインで全国どこでも対応可能なため、場所を問わずに質の高いサポートを受けられます。
経理外注・記帳代行センター
出典：| 料金（税込） | 特徴 |
基本料金： |
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マクシブ総合会計事務所が運営する経理外注・記帳代行センターは、年末調整を含む経理業務のアウトソーシングサービスを提供しています。税理士事務所が運営しているため、税務に関する専門知識が豊富で、安心して依頼できます。 記帳代行、給与計算、振込代行、そして年末調整と、企業のニーズに合わせて幅広く、柔軟に対応しているサービスです。
NTTマーケティングアクトProCX
出典：| 料金（税込） | 特徴 |
基本料金：217,200円 |
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NTTマーケティングアクトProCXは、申告書回収からデータ入力、保管までワンストップで対応するサービスです。スマートフォンからの撮影・送信に対応しており、従業員の書類申請手続きもスムーズに行える点も魅力です。NTTグループのノウハウと実績に基づく、信頼性の高いサービスと充実したサポートが特徴で、従業員数が多く、手厚いサポートを求める企業に向いています。
StepBase
出典：StepBase
| 料金 | 特徴 |
114,000円/30時間（12カ月プラン） |
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StepBaseは、パーソルがBPOサービスの一環として提供しているサービスです。オンラインアシスタントサービスとして、年末調整代行を含むバックオフィス業務を代行しています。長年の実績と全国規模のネットワークが強みです。年末調整だけでなく、給与計算や労務管理など、他の人事関連業務もまとめて委託したい企業に向いています。
CASTER BIZ（キャスタービズ）
出典：| 料金（税込） | 特徴 |
スターター：40,700円/10時間 |
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CASTER BIZ（キャスタービズ）は、オンラインアシスタントサービスとして、年末調整を含む経理・人事などの業務を代行しているサービスです。柔軟なプランと料金体系が特徴で、スタートアップから大企業まで対応しています。オンラインでのやり取りが中心のため、場所を選ばずに利用できます。
年末調整代行で業務効率化！自社に最適なサービスを選ぼう
年末調整業務は、従業員を雇用する企業にとって必須の業務ですが、専門知識が必要で、担当者にとって大きな負担となります。年末調整代行サービスを利用することで、業務効率化、コスト削減、正確性の向上、法改正への対応など、多くのメリットが得られます。
代行サービスを選ぶ際には、実績、対応範囲、セキュリティ対策、サポート体制などを比較検討し、自社の状況やニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。
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