仕事を進めるうえで欠かせないのが「タスク管理」です。タスク管理の良し悪しによって、仕事の出来不出来が変わると言っても過言ではありません。とはいえ自己流で行っていても、なんだかうまくいかないと感じることがあるかもしれません。
こんなときに利用したいのが、「タスク管理ツール」です。最近では「タスク管理ツール」も数多くの種類がリリースされ、「どのツールが良いのかわからない」「自社に最適なツールを知りたい」などの疑問を抱いている方もいらっしゃると思います。
そこで本記事では、タスク管理ツール未経験の一人社長から5人ほどの少人数組織向けのタスク管理ツールを解説します。ツールの選び方、導入の失敗要因も紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
タスク管理とプロジェクト管理の違いとは?
タスク管理と似たワードとしてプロジェクト管理があります。両者は似たような印象を受けますが、意味は明確に区別されます。具体的には、複数のタスクが集まって構成されるのがプロジェクトです。つまり、プロジェクトという大枠の中に細かなタスクがたくさん集まっているイメージです。
プロジェクトとタスクの相違点として、責任者の裁量の大きさがあります。プロジェクトの場合、数か月以上の長期にわたって大きな目標を立てて実施されます。結果的に責任者の裁量も大きいです。一方、タスクの場合は数日から1週間程度で完了するものも多いです。結果的に責任者の裁量が小さなものとなります。
タスク管理ツールを入れたのに、使われなくなるのはなぜ?
せっかくタスク管理ツールを導入しても、実際には次第に使われなくなってしまうケースが多々あります。まずはその要因をしっかり把握し、ツールの導入を成功へと導きましょう。
ありがちな導入失敗の要因
- 導入の目的や実現したいことが明確ではない
- ツールの特徴と、自社のワークフローが合っていない
- 他ツールと連携ができない
- 単純に使いにくい
- ツールを使うほど多くのタスクを抱えていない
タスク管理ツールは、導入さえすれば良い万能な特効薬ではありません。あくまで現状のワークフローや作業の効率化をサポートするツールです。それゆえ自社に最適なタスク管理ツールを選定することが重要です。
タスク管理ツールの正しい選定ポイントとは?
それでは実際にタスク管理ツールをどのように選んだら良いのでしょうか。ここからは一人社長あるいは少人数組織向けのツールの選び方をご紹介します。
管理したいタスクの範囲に対応しているか
タスク管理ツールを導入するにあたり、管理したいタスクの範囲を明確にしましょう。ツールで管理できるタスクの範囲は、大きく以下の4つに分けられます。
大まかなタスク範囲
- プロジェクト単位:プロジェクト全体のスケジュールを把握し、そこに紐づくタスクを管理
- チームタスク単位:チーム全体のタスクを管理
- 個人タスク管理:個人レベルでいつまでに何をやればよいかの管理
- 個人タイムマネジメント単位:個人レベルでその日に何をどのくらい進めるのかの管理
同じタスク管理でも、使用したいタスクの範囲は人それぞれです。ツールにも向き不向きがあるため、まずは目的を明確にして、ツールを選ぶことが重要です。
ちなみに個人レベルで使うなら、タスクリストやカンバン機能(説明は後述)のあるツールで問題ありませんが、責任者としてプロジェクト全体を見渡す必要があるならガントチャート機能(説明は後述)のあるツールがおすすめです。
タスクの進め方に合っているか
タスクやプロジェクトの進め方は、人や企業によって異なります。
たとえば期限に対してひとつずつ作業を進める場合は、期限に対してマイルストーンを把握できるガントチャート機能のあるツールと相性が良いです。反対に週ごとにタスクを割り振る場合は、柔軟なスケジュール調整が可能なカンバン機能のあるツールが合っています。
- タスクリスト(Todoリスト):タスクをチェックリスト化したもの
- カンバン:タスクを付箋のように管理するもの
- ガントチャート:プロジェクトや工程を視覚的に確認できるもの
メンバーや自分のタスクの進め方に合っているツールを選びましょう。
未経験者でも使いやすいか
タスク管理ツールの利用経験がないなら、操作性や利便性に優れたツールをおすすめします。業務効率化や可視化を目指して導入したものの、うまく使いこなせなければ、ツールの形骸化につながります。タスク管理ツールの利用には習慣化が求められるため、初めての方は操作しやすいツールを選びましょう。
既存ツールとの連携がとれるか
クラウドストレージやスケジュール管理表など、すでに使っているツールがあれば、それらと連携できるタスク管理ツールを選ぶと良いでしょう。新しいツールが既存のツールと連携できないと、いちいちデータを移行したり作り直したりしなければならず、余計な手間が生じてしまいます。
無料で使えるタスク管理ツール16選
ここからは無料で使えるタスク管理ツールを厳選して16つご紹介します。
Trello
Trello(トレロ)は、世界中で100万(2021年8月時点)を超えるチームに利用されるタスク管理ツールです。柔軟性や機能性、操作性が高いことが特徴です。必要なボードとツールが1か所にまとまっており、なんでも視覚的に整理できます。またミーティングやプロジェクト、目標から、チームの作業までセットアップできます。SlackやDropbox、Google Drive、Salesforceなどの外部ツールとの統合・連携も可能です。
Trelloの特徴
- タスクをカード型に管理できる「カンバン方式」のツール
- 拡張機能のためのプラグインが多数用意されている
- 仕事やプライベートでも活用でき、ワークフローの自動化機能が搭載
【料金】
- Free:無料(ユーザー数無制限)
- Bussiness Class:月額10ドル
- Enterprise:月額17.5ドル
Asana
Asana(アサナ)は、195か国75,000社以上(2020年2月時点)の導入実績があるマネジメントツールです。プロジェクト工程からタスクを洗い出し、期日や担当者を設定できます。これによりチーム全体で締切厳守と目標達成が簡単になります。ルーチンタスクを自動化でき、無駄な作業を削減します。カスタムフィールドを使えば、いつでも最重要のタスクを把握できます。
Asanaの特徴
- ガントチャートでメンバーの作業進捗が一目でわかる
- 複数のプロジェクトテンプレートが用意されており、カスタムでも作成できる
- Asanaと連携できるアプリは100以上
【料金】
- Basic:無料(最大15ユーザー)
- Premium:月額1,200円
- Business:月額2,700円
- Enterprise:要問い合わせ
Backlog
Backlog(バックログ)は、170万人以上(2020年4月時点)が利用する国内最大級のタスク・プロジェクト管理ツールです。ウェブ制作やソフトウェア開発、大手広告代理店、新聞社など幅広い業種で利用されています。課題管理やプロジェクト管理、バグ管理システムなど必要な機能がオールインワンになっています。
Backlogの特徴
- シンプルで直感的に使えるデザインが特長
- ガントチャートやマイルストーンで作業計画を一目で把握できる
- カンバンボードで担当者や期限を確認でき、ミスや遅れを防ぎやすい
【料金】
- フリープラン:無料(10ユーザーまで)
- スタータープラン:月額2,640円
- スタンダードプラン:月額12,980円
- プレミアムプラン:月額21,780円
- プラチナプラン:月額55,000円
- エンタープライズ:人数によって変動
Wrike
Wrike(ライク)は、世界中で2万社(2021年8月時点)以上に利用されるワークマネジメントツールです。プロジェクト全体を見やすく可視化することに優れています。一覧性に優れたダッシュボードを自在にカスタマイズできます。スプレッドシートやカンバン表示にも対応しています。
Wrikeの特徴
- チームやプロジェクトに合わせてダッシュボードを柔軟にカスタマイズ可能
- カレンダーやガントチャートを使って進捗状況を可視化
- プロジェクト状況や生産性を分析してレポート化する
【料金】
- フリープラン:無料(ユーザー数無制限)
- プロプラン:月額9.80ドル
- ビジネスプラン:月額24.80ドル
- エンタープライズプラン:要問い合わせ
Jooto
Jooto(ジョートー)は、26万人(2021年8月時点)以上が利用するカンバン方式のタスク・プロジェクト管理ツールです。付箋を貼ったりはがしたりするような感覚で、ドラック&ドロップするだけで利用できます。直感的に使えるシンプルなデザインが特徴的です。またガントチャートを使えば、全体像と進捗が一目でわかります。
Jootoの特徴
- 視覚的にわかりやすく初心者でも使いやすい
- 4人まで無料で使えるので少人数の組織にぴったり
- カンバン・ガントチャートも利用可能
【料金】
- 無料プラン:無料(4ユーザーまで)
- スタンダートプラン:月額500円
- エンタープライズ:月額1,300円
Redmine
Redmineはオープンソースで提供されている、タスク・プロジェクト管理ツールです。プラグインが多数公開されているため、使いやすいように機能を改造しやすいのが特長です。Redmineではタスクをチケットとして管理します。ソフトウェア開発で使用するGitやSubversionなどのバージョン管理ツールとも連携が可能です。
Redmineの特徴
- 無料で誰でも利用できる
- 拡張機能のためのプラグインが多数用意されている
- ガントチャートも導入されており、プロジェクト進捗状況が視覚的に把握しやすい
【料金】
- 無料
※有償クラウドサービスあり
Jira Software
Jira SoftwareはAtlassian社が開発した、アジャイルチームの利用実績No.1を誇るタスク・プロジェクト管理ツールです。世界112カ国で利用されており、カンバン形式・スクラム形式のどちらにも対応しています。ルールテンプレートが組み込まれているため、簡単に利用しやすいのが特長です。
Jira Softwareの特徴
- レポート機能が豊富で課題の状況をリアルタイムで共有できる
- クラウドとサーバーの2種類から選べる
- Automation機能によりワークフロー全体が常に最新の状態に更新される
【料金】
- Free:無料(10ユーザーまで)
- Standard:月額 ¥9,000(20,000ユーザーまで)
- Premium:月額 ¥17,300(20,000ユーザーまで)
- Enterprise:要問い合わせ(20,000ユーザーまで)
Evernote Teams
Evernote Teamsは、世界2億2,500万人もの利用者を誇るEvernoteの法人向けプランです。ユーザー管理やノートの同時編集が行えるため、複数人で共同作業をする場合に便利です。ノートのアクティビティ履歴閲覧権限や、月間アップロード容量20GB+ユーザー1人あたり2GBの容量が追加などの追加機能が備わっています。
Evernote Teamsの特徴
- アクセス管理やSSO 統合など、社内情報を安全に保護できる
- アカウント管理から新入社員教育、支払い処理まで一元管理が可能
- 同期できる端末数は無制限
【料金】
- 月額1,100円/ユーザー(最低2ユーザーの登録が必要)
Microsoft To Do
Microsoft To DoはMicrosoft社の公式タスク・プロジェクト管理ツールです。「今日の予定」画面で1日のやるべきタスクを整理できるほか、タスク提案機能の搭載によりスムーズにタスク管理が行えます。タスクをリストに紐づけまとめて管理でき、リストごとにチームメンバーと共有できます。
Microsoft To Doの特徴
- 初心者でも操作しやすいシンプルなUI
- Outlookとの連携により、フラグをつけたメールからタスク作成が可能
- タスク提案機能など、タスク管理に特化
【料金】
- 無料(※Microsoftアカウント必須)
Taskworld
Taskworldは世界80カ国以上で利用される、世界基準のタスク・プロジェクト管理ツールです。Taskworldではタイムラインで全プロジェクトをガントチャートで把握でき、各プロジェクトの進捗を一括で管理可能です。他にも総タスクのステータスが一目で分かるアナリティクス機能や、タスクにかかる時間を計測できる機能などが搭載されています。
Taskworldの特徴
- バーチャル仕事空間が作成でき、ワークスペースを関連者と共有し、プロジェクトごとにコラボが可能
- タスクにかかる時間を計測できる機能が搭載
- 15日間の無料トライアルが実施できる
【料金】
- Free:無料(5ユーザーまで)
- Premium:月額880円
- Business:月額1,650円
- Enterprise:要問い合わせ
※有料プランはいずれもユーザー数無制限
Group Task
Group Taskはピーアールジャパン株式会社が提供している、タスク・プロジェクト管理ツールです。シンプルで必要十分の機能に特化しており、使いやすいデザインなのが特長です。タスク依頼のメール・Web通知・Slackへの一斉送信や、期日順の表示など、生産性が上がる仕組みが搭載されています。管理メンバーのみタスクの状況把握が行えるため、ステータス変更などを未然に防げます。
Group Taskの特徴
- シンプルで使いやすいデザインで、必要な機能に特化
- 生産性が上がる仕組みが多数搭載
- 管理メンバーのみタスクの状況管理が行える
【料金】
- Free:無料(保有タスク数30まで)
- Standard:10 円/日(約310 円/月 、保有タスク数200まで)
- Premium:月額8,500円(保有タスク数無制限、専用サーバーとドメインの用意あり)
Todoist
Todoistは2,000万人以上の導入実績を誇り、世界1億5,000万以上のプロジェクトに携わってきたタスク・プロジェクト管理ツールです。直感的にわかりやすいUIで設計されており、DropboxやSlackなど60種類以上のアプリと連携可能です。簡易的なチャット機能やアクティビティログ機能などにより、メンバーと密なコミュニケーションを図れます。
Todoistの特徴
- シンプルかつ直感的に使いやすいUIで必要なタスクに集中しやすい
- 60種類以上のアプリと連携可能
- リマインダーやチャットなど、便利な機能が多数搭載
【料金】
- Free:無料(アクティブプロジェクト5件まで)
- Pro:月額448円(アクティブプロジェクト300件まで)
- Business:月額678円(法人向け/メンバー1人あたりアクティブプロジェクト500件まで)
TeamHack
TeamHackは株式会社カタリストシステムが提供する、タスク管理ツールです。タスク管理以外にも情報や仕様書の共有、作業時間計測などが1つにまとめて行え、複数のプロジェクトを効率的に管理できるのが特長です。タスクごとにチャット機能が使えるため、個別にメンバーとコミュニケーションが図れます。またワンクリックで確認依頼を送信できる、クリックレビュー機能が搭載されており、業務効率化に寄与するでしょう。
TeamHackの特徴
- タスクごとにチャット機能が使える
- 情報や仕様書の共有、作業時間計測がまとめて行える
- クリックレビュー機能搭載により、ワンクリックで確認依頼を送信可能
【料金】
- お試しプラン:無料
- ビジネス:月額1,200円(最低5ユーザーの登録が必要)
- フリーランス:月額1,500円
Bizer team
Bizer teamはチームの生産性向上に特化したタスク・プロジェクト管理ツールです。シンプルなUIで設計されたBizer teamではチームのタスクを資産として蓄積し、業務に必要な資料等をチームと共有しやすいのが特長です。経理やITなど分野別にデザインされた、再利用できるタスクテンプレートが20種類以上あり業務効率化が図れます。定期的に発生する属人的業務のタスク管理にも適しています。
Bizer teamの特徴
- チームの生産性に特化した管理ツール
- シンプルで操作しやすいUI
- 分野別に再利用可能なテンプレートが豊富
【料金(1ユーザーあたりの価格)】
- ライト:月額2,380円
- ビジネス:月額3,380円
- エンタープライズ:月額3,780円(年間契約のみ)
Airtable
Airtableはサンフランシスコ・ベイエリア発のタスク管理が行えるクラウドデータベースであり、世界25万社以上に利用されています。直感的にデータベースを把握しやすく、ExcelやGoogleスプレッドシートのような操作感で扱いやすいのが特長です。表示形式が多くあらゆるデータが一元管理できる上に、進捗状況がすぐに可視化できます。WorkSpaceごとに閲覧者権限の割り当てが行える機能も搭載されています。
Airtableの特徴
- 直感的に把握しやすいUIで操作も簡単
- あらゆるデータを一元管理できる
- Workspaceごとに閲覧者権限を割り当てられる
【料金】
- Free:無料
- Plus:月額12ドル
- Pro:月額24ドル
- Enterprise:要問い合わせ
マンモスプロジェクト
マンモスプロジェクトはタスクの見える化を追求し、プロジェクトの全体像を効果的に共有できるタスク・プロジェクト管理ツールです。マンモスプロジェクトでは、5つの視点(リスト・カレンダー・カンバン・ガントチャート・プロジェクトマップ)でタスクの共有が可能です。SlackやGithubとも連携できるほか、議事録などをログとして保存できる機能も備わっています。
マンモスプロジェクトの特徴
- プロジェクト全体像をチーム全員と共有しやすい
- 5つの視点でタスク共有が可能
- シンプルで操作しやすいUI
【料金】
- 通常オンライン版:月額500円/ユーザー
- オンプレミス版:年額36万円(150ライセンス込み)
- プライベートクラウド版:年額60万円(150ライセンス込み)
Google To Doやカレンダーの組み合わせでタスク管理は可能?
「無料で使えるGoogle ToDoリストやカレンダーを組み合わせるのではダメなの?」と疑問に思っている方もいらっしゃるかもしれません。
たしかに、タスクのリスト化やタスク漏れ防止などは可能です。個人レベルで、タスクをリストアップするだけの使用範囲であれば問題ありません。しかしながらチームやプロジェクト管理となると話は変わってきます。これらでは着手順や進捗状況を把握することができません。
したがって前述のとおり、管理したいタスク範囲に合わせて、Google ToDoリストやカレンダーの組み合わせ活用を検討する必要があります。
オンラインアシスタントを活用して、タスク管理を行うことは可能?
オンラインアシスタントを活用して、タスク管理を行うこともできます。例えば、「タスカル」であれば月10時間~でバックオフィス業務を委託できるので、タスク管理を丸ごと依頼することも可能です。タスカルの場合、専任のディレクターがクライアントごとにつくので、臨機応変に対応できます。タスク管理のような事務的な作業は、できる限り外注して、その分コア業務に集中する。生産性向上という点では効率的な経営といえるでしょう。
(インタビュー記事)
事務作業を外注してコア業務に集中したら、受注件数が大幅アップ|スバキリ商店株式会社
まとめ:無料タスク管理ツールを利用して作業効率・売上アップを目指そう
一人社長や少人数のチームのタスク管理は、ツールをうまく利用することで生産性や売上アップが期待できます。ただし導入しても定着しなければ意味がありません。ツールを定着させるためには、管理したいタスクの範囲を明確にし、現状のワークフローに合った機能を持つツールを選ぶことが欠かせません。
本記事を参考にしながら、自社に適したタスク管理ツールを選んでみてください。