一人で会社を設立するにはさまざまな準備があり、当然健康保険や年金についても準備を進める必要があるでしょう。一人社長だと、社会保険に加入しなければならないのかという疑問も出てくるかもしれません。
この記事では、一人社長の社会保険の加入について紹介します。会社設立にともなう社会保険の必要な手続きについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
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一人社長でも社会保険に加入しなければならない?
一人社長の小さな会社でも社会保険に加入が必要なのか解説します。
そもそも社会保険とは?
社会保険は、社会生活における相互扶助の考えからきた公的保険制度のことです。
具体的には健康保険や公的年金保険(厚生年金保険または国民年金保険)、雇用保険、労働保険(労働者災害補償保険)、介護保険などが社会保険に該当します。狭義では、健康保険と厚生年金保険のみを指して社会保険ということもあります。
※以降、この記事では健康保険と厚生年金保険を社会保険として説明します。
法人は社会保険の加入が義務付けられている
法人は社会保険(健康保険と厚生年金保険)に加入する義務があります。一人社長でも株式会社や合同会社などの法人を設立したら、社会保険に加入しなければなりません。
労災保険と雇用保険は労働者を一人でも雇用しているときに加入が義務付けられている保険です。社長は労働者にはあたりませんので、一人社長の会社では加入の必要はありません。新たに社員を雇用するときは加入が必要ですので注意しましょう。
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社会保険の新規適用事業所になる手続き
社会保険の新規適用事業所になる手続きは、以下どちらかに該当する場合に必要となってきます。
- 従業員(事業主のみの場合を含む)を使用する法人事業所
- 常時5人以上の従業員が働いている事業所、工場、商店等の個人事業所
ここでは新規加入に必要な書類や手続きの方法、手続きの期限を説明します。
新規加入の手続きに必要な書類
会社を設立して新規に適用事業所になるときは、以下の「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」の提出が必要です。届出書には、事業所の基本情報や給与関連の事項(給与支払い日や給与形態など)を記載して提出します。
様式は「日本年金機構のページ」からダウンロードできます。
出典:事業所を設立し、健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき|日本年金機構
さらに、届出書に加えて以下の書類の添付が必要です。
- 法人登記簿謄本(90日以内に交付の原本)
- 法人番号指定通知書のコピー(新規適用届の項目9で、法人番号と会社法人等番号から法人番号を選択して記載した場合に限る)
新規加入手続きの方法
健康保険と厚生年金の新規適用事業者の手続きは、まとめて管轄の年金事務所で行います。窓口に直接必要書類を持参して手続きする方法のほか、郵送や電子申請が可能です。
電子申請で書類を作成する方法には以下の3つがあります。
届出書作成プログラム |
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市販ソフト |
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電子申請(e-Gov) |
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作成した届出書は、届出書作成プログラム、または電子申請(e-Gov)を使って送信します。利用するには、事前にGビズIDと電子証明書の取得が必要です。
社会保険はいつから加入する?
新規適用届の提出は、会社設立から5日以内に手続きが必要です。
なお、先に紹介した新規適用届の提出方法のほかに、法人設立関連手続きをワンストップでできる「法人設立ワンストップサービス」もあります。当該サービスでは、社会保険の新規適用届もまとめて手続きができますので、漏れなく手続きをしたいなら「法人設立ワンストップサービス」の利用もおすすめです。
一人社長が社会保険に加入する手続き
社会保険の適用事業者になるための届出のほかに、被保険者(今回の場合は一人社長)が社会保険に加入する手続きも必要です。以下の「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」に資格取得日(社会保険の加入日)、個人番号、報酬月額などの必要事項を記入して年金事務所に提出します。
扶養する配偶者などがいるときは、「健康保険被扶養者(異動)届」「国民年金第三号被保険者届」もあわせて提出します。
役員報酬ゼロだと加入できないこともある
会社を設立したばかりなどで、一人社長の役員報酬がゼロ、あるいは社会保険料を下回るほど役員報酬が少ないときは、社会保険に加入できないケースもあります。ただ加入を申請する人が被保険者になれないだけで、会社は引き続き適用事業者ではあり続けます。
なお社会保険に入れなかったとしても、健康保険や年金保険の加入は義務のため、代わりに国民健康保険と国民年金への加入が必要です。国民健康保険は地方自治体の窓口で、国民年金は年金事務所で手続きを行います。
社会保険未加入だとどうなる?
社会保険に加入が必要な事業所であるにもかかわらず社会保険に加入していなかった場合は、年金事務所から指導を受けます。さらに、過去2年までさかのぼって未納分を徴収されるほか、悪質なケースでは6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金を科されることがあります。
会社を設立するときは、適用事業所としての加入が必須と考えて、設立後すみやかに手続きを行いましょう。
個人事業主も社会保険に加入する?
株式会社や合同会社を設立せずに個人事業主として一人で事業をする場合は、強制適用事業所には該当しないため社会保険の新規適用事業所の手続きは必要ありません。
しかし、個人の健康保険や年金保険の加入は義務です。個人事業主も一人社長で役員報酬がゼロのケースと同じように、国民健康保険(または健康保険組合や任意継続など)や国民年金保険に加入する必要があります。
一人社長でも社会保険の加入は必要
一人社長で株式会社や合同会社のような法人を設立する際は、社会保険の新規適用事業所の手続きが必要です。また役員報酬がゼロなどの場合を除き、社長自身が被保険者になる手続きもセットで必要になります。
社会保険に加入するということは、毎月、社会保険料の計算や納付などが必要になるということです。一人社長でコアな業務に集中したいときは、バックオフィス業務の代行の利用もおすすめです。
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