月次決算の進め方を8ステップで解説|効率化のコツや外部委託の活用法も紹介

月次決算を行うと、毎月の売上や利益、資金繰りの状況を把握しやすくなります。しかし、「どのような手順で進めればよいのか」「年次決算と何が違うのか」「社内だけで対応しきれるのか」と悩む企業も少なくありません。

この記事では、月次決算の目的や年次決算との違い、基本的な進め方を解説します。月次決算をスムーズに進めるコツや、負担が大きい場合に外部委託を活用する方法も紹介します。

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月次決算とは?基本をわかりやすく解説

月次決算とは、企業が毎月の経営状況を把握するために、1か月ごとに売上や費用、資産・負債などを集計する決算業務です。

年次決算が税務申告や法定報告を目的として行われるのに対し、月次決算は法律で義務付けられているものではなく、日々の経営状況を早く把握し、必要な対策を講じるために行うものです。

月次決算の目的や役割

月次決算の主な目的は、経営状況をタイムリーに把握し、迅速な意思決定につなげることです。月ごとの数値を確認することで、売上や利益の変化、資金繰りの状況、コストの増減などを早い段階で把握しやすくなります。

月次決算には、次のような役割があります。

  • 売上や利益の推移を毎月確認できる
  • 資金繰りやキャッシュフローの状況を把握できる
  • 売上減少やコスト増加などの課題を早期に発見できる
  • 月次データをもとに、経営判断や事業計画の見直しに活用できる

たとえば、月次決算を行っていれば、特定の月だけ利益率が下がっている、想定よりも経費が増えている、入金予定と支払い予定のバランスが悪いといった変化に気づきやすくなります。問題を早めに把握できれば、資金繰りの見直しやコスト削減、販売施策の改善などにもつなげやすくなります。

また、日頃から数値を確認しておくことで、年次決算時の修正や確認作業の負担軽減にもつながります。

年次決算との違い

月次決算と年次決算は、実施する頻度だけでなく、目的や求められる精度にも違いがあります。

比較項目 月次決算 年次決算
頻度 毎月 年1回
法的義務 任意 義務
主な目的 経営状況の把握、課題の早期発見、経営判断への活用 税務申告、法定報告、決算書の作成
主な利用者 経営者、管理部門、各部門の責任者など 税務署、金融機関、株主など
求められる精度 経営判断に必要な精度を確保しつつ、スピードを重視 法令や会計基準に沿った高い正確性が必要
主な用途 予実管理、資金繰りの確認、経営改善 税務申告、決算書の公表、外部報告

月次決算は、会社の現状を早く把握し、次の経営判断に活かすためのものです。一方、年次決算は、1年間の経営成績や財務状況を確定し、税務申告や外部報告を行うために実施します。

月次決算の進め方【8つの基本ステップ】

月次決算を効率的に進めるには、毎月の作業手順を決めておき、必要な資料や確認項目を漏れなく整理することが大切です。月末・月初になってから慌てて対応するのではなく、取引データの収集や残高確認、試算表の作成までの流れを標準化しておくと、締め作業をスムーズに進めやすくなります。

1. 取引データを整理する

最初に、当月に発生した取引データを収集・整理します。銀行やクレジットカードの取引明細、請求書、領収書、給与データ、経費精算データなどを確認し、仕訳の計上漏れや重複、勘定科目の誤りがないかをチェックします。

取引データの整理が遅れると、その後の残高確認や試算表の作成にも影響します。毎月の締め作業をスムーズに進めるためには、証憑の提出期限を決めたり、会計ソフトの連携機能やCSVファイルの取り込み機能を活用したりして、入力・確認作業を効率化することが重要です。

2. 現金・預金残高を確認する

次に、現金や預金の実際の残高と帳簿上の残高が一致しているかを確認します。月末時点の現金残高や銀行口座の残高を確認し、帳簿残高と差異がないかを照合します。

残高が一致しない場合は、取引データの入力漏れ、二重計上、金額の誤り、未処理の入出金などが発生している可能性があります。差異がある場合は原因を確認し、必要に応じて修正します。差異の内容や修正履歴を残しておくと、同じミスの再発防止にもつながります。

3. 月次棚卸を実施する

商品や製品などの在庫を抱える企業では、月末時点の在庫数と帳簿上の在庫が一致しているかを確認します。実際の在庫数量を確認し、会社で採用している評価方法に基づいて在庫金額を算出します。

帳簿上の在庫と実際の在庫に差異がある場合は、棚卸減耗などの処理が必要です。月次棚卸を行うことで、在庫の増減や過剰在庫、ロスの発生に早く気づきやすくなります。毎月の損益を正しく把握するためにも、在庫の確認は重要な作業です。

4. 仮勘定を整理する

仮勘定とは、内容や金額が確定していない取引を一時的に処理するための勘定科目です。代表的なものに、仮払金仮受金があります。

仮勘定が長期間残ったままになると、取引の内容が不明確になり、正確な財務状況を把握しにくくなります。月次決算では、仮勘定に残っている取引の内容を確認し、正式な勘定科目が確定しているものは適切な科目に振り替えます。

5. 経過勘定を整理する

経過勘定とは、費用や収益を正しい期間に対応させるために使用する勘定科目です。前払費用、未払費用、前受収益、未収収益などが該当します。

たとえば、数か月分の保険料やシステム利用料をまとめて支払った場合、すべてを支払月の費用として処理すると、月ごとの損益が実態とずれてしまいます。そのため、当月分と翌月以降分に分けて処理し、必要に応じて前払費用などに振り替えます。

6. 減価償却費などを計上する

固定資産を保有している場合は、減価償却費を月次で計上します。固定資産は購入時に全額を費用計上するのではなく、耐用年数に応じて少しずつ費用として処理する必要があります。

月次決算では、年間の減価償却費を12か月で按分し、毎月の費用として計上するのが一般的です。減価償却費や引当金など、期間に応じて配分すべき費用を毎月反映することで、月ごとの損益をより実態に近い形で把握できます。

7. 月次試算表を作成する

必要な仕訳や調整が完了したら、月次試算表を作成します。試算表は、各勘定科目の残高を一覧で確認できる資料で、月次の損益や財務状況を把握するために使用します。

作成後は、前月や前年同月、予算と比較し、大きな増減や異常値がないかを確認します。売上や利益だけでなく、売掛金、買掛金、在庫、借入金などの残高も確認しておくと、資金繰りや経営課題を把握しやすくなります。

8. 月次業績報告を実施する

最後に、月次試算表をもとに経営層や関係部署へ業績を報告します。月次決算は、単に数字を集計するだけでなく、経営判断に活かすことが目的です。

月次業績報告では、売上や利益の増減、予算との差異、資金繰りの見通し、在庫や売掛金の状況などを整理します。数値の変化だけでなく、「なぜ増えたのか」「どこに課題があるのか」「次にどのような対応が必要か」までまとめると、経営改善につなげやすくなります。

月次決算をスムーズに進めるコツ

月次決算をスムーズに進めるには、毎月同じ手順で作業できる仕組みを整えることが大切です。ここでは、月次決算を効率よく進めるための3つのポイントを紹介します。

チェックリストを活用する

月次決算では、取引データの整理や残高確認、棚卸、試算表の作成など、多くの作業を限られた期間で行います。そのため、毎月の作業をチェックリストで管理すると、確認漏れや担当者間の認識違いを防ぎやすくなります。

チェックリストには、「何を確認するか」だけでなく、「担当者」「期限」「確認日」まで記載しておくのがおすすめです。作業の進捗状況を把握しやすくなり、万が一漏れがあった場合も原因を特定しやすくなります。

以下は、月次決算で活用できるチェックリストの一例です。自社の業務内容や締め日のルールに合わせて、項目や期限を調整して運用しましょう。

【月次決算チェックリスト(例)】

請求書・領収書などの提出ルールを社内で統一する

月次決算が遅れる原因の一つに、請求書や領収書、経費精算書などの必要書類が期限までに集まらないことがあります。経理担当者だけが効率化を進めても、各部門から必要な書類が届かなければ、月次決算全体が遅れてしまいます。

そのため、提出物や提出期限、提出方法をあらかじめ社内で統一しておくことが重要です。例えば、「経費精算は毎月末締め・翌月2営業日まで」「請求書は受領後すぐに所定のフォルダへ保存する」といったルールを設けることで、月初の作業負担を軽減できます。

また、月末にまとめて書類を回収するのではなく、日常業務の中で随時提出してもらう運用にすると、月次決算の締め作業をよりスムーズに進められます。

会計ソフトやクラウドサービスを活用する

会計ソフトや経費精算システム、請求書発行システムなどのクラウドサービスを活用すると、月次決算に必要なデータを効率よく収集できます。

例えば、銀行口座やクレジットカードと会計ソフトを連携すれば、取引データを自動で取り込みやすくなり、入力や照合作業の負担を削減できます。また、経費精算システムや請求書管理システムと連携することで、書類の回収状況や売掛金・買掛金の管理もしやすくなります。

ただし、ツールを導入するだけで月次決算が効率化されるわけではありません。入力ルールや承認フローを整備し、毎月同じ手順で運用できる体制を作ることが、月次決算を安定して進めるポイントです。

月次決算でよくあるミス

月次決算では、限られた期間で多くの確認作業を行うため、計上漏れや入力ミス、残高の不一致などが起こりやすくなります。ミスを放置すると翌月以降の数値にも影響し、年次決算時に大きな手戻りが発生する可能性があります。

社内で起こりやすいミスはあらかじめ整理し、確認方法や対処法を決めておきましょう。

ミスの内容 具体例 対処法
計上漏れ 請求書の到着遅れにより、当月分の費用が未計上になっている 定期的な取引は一覧化し、未着の請求書がないか締め日前に確認する
証憑不足 領収書や請求書が回収できておらず、内容を確認できない 未回収リストを作成し、提出期限前に担当者へ確認する
勘定科目の誤り 通信費、消耗品費、支払手数料などの科目判断が担当者によって異なる 科目ごとの判断ルールを作成し、迷いやすい取引は事前に整理する
二重計上 クレジットカード明細と領収書の両方をもとに同じ経費を計上している 支払方法ごとに確認し、同じ取引が重複していないか照合する
入力ミス 金額、日付、取引先名などを誤って入力している 会計ソフトの自動連携を活用し、入力後に金額や日付を確認する
残高不一致 帳簿上の預金残高と銀行残高が一致していない 月末時点で銀行明細と帳簿残高を照合し、差異の原因を確認する
経過勘定の処理漏れ 前払費用や未払費用の計上が漏れている 毎月発生する費用や複数月にまたがる支払いを一覧化して確認する
税区分の誤り 消費税の課税・非課税区分を誤って処理している 税区分の確認工程を設け、不明点は税理士や会計担当者に確認する
異常値の見落とし 特定の費用だけ前月より大きく増えているのに確認していない 前月比・前年同月比で大きな差異がないか確認する

月次決算のミスを防ぐには、担当者の注意力だけに頼るのではなく、チェックリストや提出ルールを整備し、毎月同じ手順で確認できる体制を作ることが大切です。

月次決算の負担が大きいときは外部委託をうまく活用しよう

月次決算の業務量が多く、社内リソースだけで対応しきれない場合は、外部委託を活用するのも一つの方法です。月次決算に関わる業務は、会計事務所や税理士事務所、オンラインアシスタントなどに依頼できます。

ただし、依頼先によって対応できる業務や得意分野は異なります。税務判断や申告業務を含めて依頼したい場合は会計事務所・税理士事務所請求書作成や証憑整理、データ入力などの定型業務を切り出したい場合はオンラインアシスタントの活用が向いています。

比較項目 会計事務所・税理士事務所 オンラインアシスタント
専門性 会計・税務の専門知識を持つ専門家が対応 サービスや担当者により対応範囲・専門性が異なる
対応範囲 記帳、月次決算、年次決算、税務申告、税務相談など 証憑整理、データ入力、請求書作成、経費精算、月次資料作成補助など
コスト 顧問料や決算申告料が発生し、比較的高くなりやすい 利用時間や契約プランに応じて依頼でき、比較的調整しやすい
強み 税務・会計の専門性が高く、判断や助言を受けられる 定型業務や周辺業務を切り出しやすく、社内負担を軽減しやすい
向いている業務 複雑な会計処理、税務申告、税務相談、経営アドバイス 請求書作成、証憑整理、仕訳入力補助、経費精算、資料作成補助

会計事務所・税理士事務所に委託する場合

会計事務所や税理士事務所に月次決算を委託するメリットは、会計・税務の専門家に相談しながら業務を進められる点です。記帳や月次決算だけでなく、年次決算や税務申告、税務相談まで一貫して依頼できる場合があります。

一方で、依頼範囲が広がるほど費用は高くなりやすく、日常的な書類整理や細かな入力作業まで依頼すると、やり取りに時間がかかることもあります。そのため、税務判断や複雑な会計処理が必要な場合、専門家の助言を受けながら月次決算を進めたい場合に向いています。

オンラインアシスタントを利用する場合

オンラインアシスタントは、経理や事務などのバックオフィス業務をオンラインでサポートするサービスです。請求書作成、証憑整理、データ入力、経費精算、月次資料作成補助など、月次決算に関わる周辺業務を切り出して依頼できます。

ただし、税務申告や税務相談など、税理士資格が必要な業務には対応できません。そのため、税務判断は税理士に相談しつつ、日常的な経理作業や資料整理をオンラインアシスタントに任せるなど、役割を分けて活用するのがおすすめです。

特に、1人経理や小規模なバックオフィス体制では、月末・月初に業務が集中しやすくなります。オンラインアシスタントを活用すれば、定型業務の負担を減らし、社内担当者が確認や判断が必要な業務に集中しやすくなります。

「タスカル」では経理を含むバックオフィス業務全般をサポート

タスカルは、経理を含むバックオフィス業務全般をサポートするオンラインアシスタントサービスです。月次決算に必要な請求書対応や入金確認、売上入力などの周辺業務を依頼できるため、社内担当者の負担軽減につながります。

例えば、以下のような経理関連業務の依頼が可能です。

  • 経理記帳
  • 振込代行
  • 在庫数値チェック
  • 請求書発行・送付
  • 領収書発行
  • 売上入力
  • 入金確認 など

月末・月初に経理業務が集中している場合や、1人経理で月次決算の準備に時間がかかっている場合は、タスカルの活用を検討してみてはいかがでしょうか。

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