ChatGPTをはじめとした対話型AIツールへの指示や質問は「プロンプト」と呼ばれています。質問によって生成される回答の質が変化するため、最適な回答を生成するにはプロンプトのコツをつかむことが大切です。
今回は、AIをビジネスで活用する際のプロンプト例や、精度の高い回答を生成するポイント、AIのプロンプトを作成するときの注意点を解説します。AIを活用して業務効率化を図るときに、お役立てください。
AIのプロンプトとは
プロンプトとは、ChatGPTやGoogle Bard、Bing AIなど対話型AIツールで回答を生成するときの質問や指示のことを指します。
求めている回答を生成するには、「箇条書きで」「200文字以内で」といったように具体的に指示することが重要です。また「エンジニアの立場で」など、プロンプトでどのような視点で回答するのかを伝えるのも有効です。
プロンプトのポイントをおさえておくと最適な回答を生成できるので、仕事での業務効率化にもつながります。
AIのプロンプトで精度の高い回答を生成するポイント
文章生成AIツールで精度の高い回答を生成するポイントをお伝えします。
具体的に指示し、条件を設定する
どのような回答を生成してほしいのかを具体的に指示することで、精度の高い回答を得やすくなります。
以下の点をプロンプトに盛り込んて具体的に指示しましょう。
- 回答形式:箇条書き、対話形式、順序立て など
- 文字数:〇〇字以内
- 対象者:初心者向け、小学生でもわかるように など
例えば「端的に」「わかりやすく」といった抽象的な指示では、AIがうまく理解できず、長文の回答を生成してしまう可能性があります。
メールマガジンの文面や社内向け資料の作成で活用するなど、使用用途にあわせて要求を具体的に指示しましょう。
役割を与える
文章生成AIツールは、どのような立場で回答するかを指定すると役割になりきって質問に答えてくれます。
例えば企画のアイデア出しをする際に、年齢や性別、職業などを指定してターゲットの声を代弁してもらったり、エンジニアや法務として社内で案を通す際に課題になりそうな点をあげてもらったりといった活用ができます。
役割になりきってもらい会話を続ければ、さらに精度の高い回答を生成できる可能性が高まるでしょう。
逆質問させる
質の高い回答を生成するときに役立つのが、AIに逆質問してもらうことです。「追加で必要な情報があれば教えてください」「知りたいことがあれば質問してください」など逆質問をすることで、考慮すべき項目や回答の精度を上げるために必要な項目を聞いてくれます。
以下は、AIで社外向けのイベントを開催する際のFAQを作成し、逆質問してもらった例です。
▼ChatGPT3.5の回答例
▼Google Bardの回答例
このように逆質問をすることで、内容を深掘りして質の高い回答を生成できます。
AIが理解しやすいように「#」で指示する
「#」のようなマークアップ言語をプロンプトで使用すると、AIが質問や指示を理解しやすくなります。
以下のように条件や設定などを伝えるときは、必要に応じて「#」を使うとよいでしょう。
プロンプト例
条件を踏まえて、英文を翻訳してください。
#条件
- 専門用語を翻訳する
- 専門用語の解説を追記する
#英文
aaaaaaaaaaaaaaaaaaa
【業務別】ビジネスで役立つAIプロンプトの例
ビジネスで文章生成AIツールを活用するときに役立つプロンプトの例を、業務別に紹介します。
メルマガの文面作成
文章生成AIツールは、メールの文章作成にも活用できます。
例えば、ECサイトのキャンペーンをメルマガで訴求する際に、以下のプロンプトで文面を生成することが可能です。
プロンプト例
以下の商品のキャンペーンを訴求するメルマガの文章を作成してください。
#商品名
〇〇〇〇セット
#キャンペーンの概要
対象期間中にセット購入したユーザーに通常よりも2倍のポイントを付与する
#ターゲット
20代~30代女性
#目的
リピート率を上げる
#条件
- 読者が親しみやすい文章で作成する
- キャンペーンの概要を訴求する
- 800文字程度で作成する
電話のスクリプト作成
営業電話のトークスクリプトを考えてもらうことが可能です。生成したトークスクリプトをブラッシュアップして活用できます。
プロンプト例
以下のサービスを電話で営業するときのトークスクリプトを作成してください。
#サービス名
□□□□サービス
#概要
情シス業務の管理ツール
#特徴
バックオフィス業務の効率化を図れる
#ターゲット
従業員がさまざまな業務を兼務している企業
#目的
商談のアポ取り
#条件
- ビジネスでのやり取りに適した丁寧な文章を作成する
コラム記事の作成
オウンドメディアなどのコラム記事を作成する際にもAIツールが役立ちます。すぐに文章を生成するのではなく、検索ユーザーのニーズを掘り下げて段階的に質問して作成すると精度が上がります。
プロンプト例:ペルソナ作成
マーケティングに関する情報を発信するオウンドメディアを運営しています。今回は「△△△」についてSEO記事を作成します。Googleで検索するユーザーの「年齢、職種、役職」を予想し、ペルソナを詳細に設定してください。ただし、ペルソナは「マーケティング」の初心者とします。
プロンプト例:検索ユーザーのニーズ把握
ペルソナが「△△△」を検索するに至った背景を考えてください。顕在ニーズと潜在ニーズを箇条書きでそれぞれ100文字以内でまとめてください。
プロンプト例:見出しの生成
ペルソナが「△△△」を検索して読み進めたくなる記事の見出しを考えてください。
その他にも文章生成AIツールは、文章の校正にも活用できます。
社内マニュアルの作成
業務手順やツールの操作方法など、社内向けマニュアルのたたき台を作成することが可能です。
プロンプト例
Excelで売上管理する際の業務マニュアルを作成してください。
#使用するソフト
Excel
#目的
売上管理の属人化を防ぐ
#業務内容
- 売上データをダウンロードして、Excelにデータをアップロードする
- 表やグラフに数値が反映されているか確認する
- 売上推移をまとめて報告する
#ターゲット
新入社員
#条件
- 新入社員に向けて分かりやすい文章で作成する
- 手順を追って説明する
文章生成AIツールでマニュアル作成する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
AIプロンプトを作成するときの注意点
プロンプトの作成やAIが生成した回答をビジネスで活用する際、注意しなければいけないのが以下の4点です。
- 機密情報は入力しない
- 著作権を侵害していないか確認する
- 回答の内容を精査する
- ツールやエンジンにより回答に差異がある
AIは指示や質問を学習データとして使う可能性があるため、機密情報や個人情報などはプロンプトに入れないように気をつけましょう。
学習データをもとに回答を生成するため、類似しているコンテンツがすでに存在する可能性があります。ビジネスで活用する場合は、「内容に誤りがないか」「著作権を侵害していないか」を確認したうえで利用しましょう。
また、AIはさまざまなツールがあり、搭載しているエンジンも異なります。同じプロンプトを使用したとしても、想定通りの回答が得られるとは限りません。実際に指示や質問をしながら、回答の精度を高めることが重要です。
AIプロンプトで業務効率化を実現しよう
プロンプト作成のコツを理解することで、回答の精度が上がり、業務効率化につながります。具体的に指示し、「#」などを使用してAIが理解しやすいようにプロンプトを作成しましょう。
業務の効率化を図りたいときには、AIとあわせてオンラインアシスタントサービスを活用するのもひとつです。専門スキルを持った人材に必要な業務を依頼できます。是非、オンラインアシスタントの導入をご検討ください。