一人社長が忙しい依頼業務をこなしながら、会計帳簿から試算表、決算書などといった会計業務をこなすのは負担が大きいものです。そのような一人社長におすすめなのが「会計ソフト」です。しかし以下のような疑問があるかと思います。
- 結局どの会計ソフトを選べばよいのかが分からない
- インボイス制度や電子帳簿保存法には対応しているの?
この記事ではそのような疑問を解決すべく、「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」「弥生会計 オンライン」の3大クラウド型会計ソフトを比較し、さまざまな一人社長にとって最適な「クラウド会計ソフト」をご紹介します。
おすすめの利用者 | |
freee会計 |
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マネーフォワード クラウド会計 |
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弥生会計 オンライン |
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freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 オンラインの基本情報
3大クラウド会計ソフトである「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」「弥生会計 オンライン」について、具体的な違いを比較する前に、まずはそれぞれのサービスについて簡単にご紹介します。
freee会計
「freee会計」は、freee株式会社(以下、freee)が運営する個人事業主や法人向けのクラウド会計ソフトです。法人向け、個人事業主向けそれぞれで複数の料金プランが用意されており、プランごとに使える機能などが異なります。
人気の高さの理由の一つとして、「経理業務を限りなく自動化、簡略化させる」というシステム思想が挙げられます。freee会計はパソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも利用が可能なため、例えば経費精算の際はスマートフォンで撮った領収書の写真をアプリ経由で添付して簡単に申請が可能です。
また、freeeは金融機関や外部サービスとのシステム連携に力をいれており、APIと呼ばれる仕組みでさまざまなサービス間でのデータ連携を可能にしてきました。API連携を行うことで、インターネットバンキングやクレジットカード決済の情報が自動でfreee会計に反映されるなど、会計業務が簡単になります。特にfreeeはAPI連携が可能な金融機関の数は他社と比較しても多いことが強みです。ご参考までにfreeeがAPI連携対応している金融口座の一覧はこちらを参照ください。
マネーフォワード クラウド会計
「マネーフォワード クラウド会計」は株式会社マネーフォワード(以下、マネーフォワード)が運営する法人向けのクラウド会計ソフトです。
マネーフォワードでの独自調査によると「マネーフォワード クラウド会計」は2020年度のクラウド会計ソフトの満足度で1位とのことです。具体的には利用者とのチャットやメールでの「サポート」の満足度が95%としており、このサポート体制が当ツールの強みとされています。
マネーフォワードもfreeeよりも数は少ないものの、順次さまざまな金融機関や外部サービスとのAPI連携を広げています。ご参考までにAPI連携している金融機関についてはこちらをご参照ください。
弥生会計 オンライン
「弥生会計 オンライン」は弥生株式会社(以下、弥生)が運営する、法人向けのクラウド会計ソフトです。さまざまなツールを展開しており、会計ソフトの領域において長年の実績を保有しています。この「弥生会計」ブランドの利用者は2人に1人いるといったデータもあり、非常に多くの方に利用されています。
弥生はfreeeやマネーフォワードと比較すると数は少ないものの、順次API連携可能な金融機関を広げています。ご参考までにAPI連携している金融機関についてはこちらをご参照ください。
freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 オンラインの比較・違い
ここからは各製品のプラン・価格や機能について比較していきます。
価格比較
freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 オンラインの価格プランを見ていきましょう。
会計ソフト | プラン (基本料金) | 料金 | |
月払い | 年払い | ||
freee会計 | ミニマム | 2,680円/月 | 23,760円/年 |
ベーシック | 5,280円/月 | 47,760円/年 | |
プロフェショナル | 47,760円/月 | 477,600円/年 | |
マネーフォワード クラウド会計 | スモールビジネス | 3,980円/月 | 35,760円/年 |
ビジネス | 5,980円/月 | 59,760円/年 | |
弥生会計 オンライン | 無料体験プラン | 初年度1年間0円 | |
セルフプラン | 2,166円 | 26,000円/年 | |
ベーシックプラン | 2,933円 | 35,200円/年 |
参照:freee会計|料金プラン、マネーフォワード クラウド会計の料金、弥生会計オンライン|料金プラン
どのクラウド会計ソフトでも月払いのプランが存在しますが、年間コストは年払いの方が安いため、確実に1年以上利用する場合は年払いを選択する方が良いでしょう。
またお試し体験期間としてfreee会計とマネーフォワード クラウド会計は、1ヶ月間無料で利用することが可能です。弥生会計 オンラインは「初年度無料キャンペーン」が実施されています。適用条件を満たすと利用できるので、こちらからチェックしてみてください。
機能比較
ここからは各製品の機能的な比較についてご紹介します。
①ソフト内の機能比較
機能 | freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計 オンライン |
銀行口座やクレジットカートとの連携 | ○ | ○ | ○ |
決算書の作成・出力 | ○ | ○ | ○ |
領収書やレシートの自動仕訳 | ○ | ○ | ○ |
請求書の作成 | ○ | ○ | ○ |
サポート(電話) | ミニマム:× ベーシック、プロフェショナル:○ | × | セルフプラン:最大2ヶ月利用可) ベーシックプラン:利用可 |
サポート(メール) | ○ | ○ | セルフプラン:最大2ヶ月利用可 ベーシックプラン:無制限で利用可 |
サポート(チャット) | ○ | ○ | セルフプラン:利用不可 ベーシックプラン:利用可 |
メンバー共有・追加 | ミニマム:3名 ベーシック:3人 プロフェッショナル:10人 | スモールビジネス:2部門まで | × (別途ライセンス購入が必要) |
連携サービス | Amazon Airレジ 楽天市場 Square PayPal モバイルSuica など | Airレジ クラウドワークス ランサーズ BASE (ベイス) Square 楽天ペイ など | Airレジ Misoca Moneytree Zaim ぐるなびPOS+ Amazon など |
インボイス制度 | ○ | ○ | ○ |
電子帳簿保存法 | ○ | ○ | ○ |
②システム要件
次にシステムの要件についてご紹介します。各製品がスマートフォンアプリに対応しているか否か、パソコン上で動かすためのWebブラウザの対応状況などについて整理しました。
freee会計 | マネーフォワード クラウド会計 | 弥生会計 オンライン | |
スマホアプリの有無 | ○ | ○ | ○ |
スマホアプリ対応OS |
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クラウドソフト対応Webブラウザ |
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対応OS(パソコン) |
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freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 オンラインの詳しい特徴
次に各製品の詳しい特徴について解説します。後述に各製品の特徴を挙げていきますが、各社同様の機能を提供している影響で明確な差が生まれにくくなっているのが現状です。
freee会計:複式簿記を感じさせない操作画面+会計業務の自動化
「freee会計」の大きな特長は、独特の操作感・ユーザーインターフェース(UI)が挙げられます。帳簿を画面上で入力する際に、複式簿記が不慣れな方にも入力がしやすい工夫がされています。
具体的には「ステップUI」と呼ばれる、画面に表示されるガイド・手順どおりに金額の入力や画面を操作していくと、結果的に決算書などが作成できる仕組みが用意されています。この機能により、例え会計の知識のない方でも比較的簡単に利用できるのが特徴です。ただし従来の会計ソフトに馴染みのある方にとっては、多少違和感を覚えるかもしれません。
また、前述のとおりfreeeは数多くの金融機関や業務サービスとのAPI連携に力を入れています。仕訳業務についても人工知能(AI)を活用した自動仕訳を可能としており、手入力を軽減する仕組みを提供しています。
マネーフォワード クラウド会計:従来の会計ソフトに近い画面入力+人事労務の機能も付いてくる
「マネーフォワード クラウド会計」の操作は、freeeと違い、従来の会計ソフトに近い形での画面入力となっており、複式簿記・会計業務を慣れている方も違和感なく使用できることが特徴です。
またfreeeと同様、様々な金融機関や業務サービスとのデータ連携やAIによる自動仕訳に対応しています。具体的には銀行口座やクレジットカードをはじめ、電子マネー、POSレジ、通販サイトなどといった2,400以上の金融関連サービスと連携しています。
さらにマネーフォワード クラウド会計はスモールビジネス、ビジネスのいずれのプランにも、「給与・賞与計算」「社会保険手続きに関わる書類作成」「勤怠管理」などといった人事労務に関する機能が付いてきます。これらはfreeeや弥生会計では標準機能ではない機能です。
弥生会計 オンライン:初期導入コストが低い+画面UIが経理・会計に特化
「弥生会計 オンライン」は1年間無料で利用できるため、初期期導入コストが低いのが魅力です。もう一つの利点は経理・会計に特化しているため、従来の経理・会計の経験者の方や複式簿記に慣れている方には利用しやすいツールであることです。
freee会計やマネーフォワードと同様に銀行明細、クレジットカードなどの取引データ、紙のレシートや領収書のスキャンデータ、オンライン請求書データ・POSレジで入力したお店の売上データの自動取り込み、AIによる自動仕訳も可能です。
利用シーン別・おすすめのクラウド会計ソフト
ここまで紹介してきたクラウド会計ソフト3社は、いずれも幅広い企業で使われており、どのソフトも会計業務の効率化に役立ちます。それでも、なかなか決めきれない・どれも同じに感じられてしまう、と悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
そこで、ここでは事業の規模や重要視する項目などにより、特に利用をおすすめするクラウド会計ソフトを紹介します。
小規模事業者向けのおすすめクラウド会計ソフト
1人社長や中小企業、個人事業主といった小規模事業者には、freee会計がおすすめです。freee会計は、操作が非常に簡単で、経理業務に慣れていない方でも直感的に使える点が大きな魅力です。特に、確定申告の時期になると、経理処理や書類作成が負担になることが多いですが、freee会計ではその負担が大幅に軽減されるでしょう。例えば、領収書やレシートをスマートフォンで撮影するだけで、自動的に仕訳を行い、確定申告書類の作成までをサポートします。
また、基本的な機能は無料版でも利用可能で、コストを抑えつつ運用を始められる点も、小規模事業者には嬉しいポイントです。ビジネスの成長に合わせて必要な機能を追加できる柔軟性も持っているため、長期的に利用できる会計ソフトとしても信頼性が高いです。
コスト重視派におすすめのソフト
コスト重視の方には、弥生会計 オンラインが最も適しています。弥生会計 オンラインは、シンプルで必要最低限の機能を持ちながら、リーズナブルな価格で提供されています。初年度無料キャンペーンや割引プランなどを活用することで、初期コストを大幅に削減できます。
また、インターフェースが直感的で操作が簡単で、経理業務に慣れていないユーザーでも安心して利用可能です。電話やチャットでの対応も無料で受けられるため、コストを抑えつつ、必要なサポートを受けられるのが大きなメリットです。
機能重視派におすすめのソフト
機能を重視する方には、マネーフォワード クラウド会計がおすすめです。豊富な自動化機能を備えており、日々の経理業務を大幅に効率化できるでしょう。
例えば、銀行やクレジットカードの取引データを自動で取得し、仕訳を自動で生成する機能は、手作業を大幅に減らしミスを防ぎます。
また、マネーフォワードは他の業務システムとの連携が容易で、会計業務以外にも幅広く活用できるのも魅力です。給与計算や在庫管理など、企業のバックオフィス業務全般を一元管理することが可能で、総合的な業務効率化が実現可能です。
今後のクラウド会計ソフトの導入には「電子帳簿保存法」と「インボイス制度」に対応しているかもチェック
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、税務関係帳簿書類のデータ保存を可能にする法律のことです。2024年1月1日以降は印刷保存ができなくなり、会計ソフトで作成した帳簿や書類を印刷せずそのままデータ保存することとなります。
参考:はじめませんか、帳簿・書類のデータ保存(電子帳簿等保存)|国税庁
インボイス制度とは
インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは2023年10月1日から開始された、複数税率(標準税率10%、軽減税率8%)に対応した仕入税額控除の方式のことです。
買手が仕入税額控除の適用を受けるには、売手から受け取ったインボイス(適格請求書)を保存しなければなりません。クラウド会計ソフトを活用し、適格請求書発行事業者に発行される登録番号の真正性を確認したり、インボイスを保存・管理したりすると便利です。
freee会計、マネーフォワード クラウド会計、弥生会計 オンラインの対応を比較
電子帳簿保存法
各クラウド会計ソフトは、電子帳簿保存法にどのように対応しているのでしょうか。それぞれの機能を紹介します。
freee会計 | ・取引関係書類(契約書、請求書、領収書)のスキャナ保存に対応 ・タイムスタンプの付与・検証が可能 ・書類の検索・バージョン管理に対応 |
マネーフォワード クラウド会計 | ・電子取引データ(請求書、注文書・発注書、見積書や納品書など)の自動保存が可能 ・タイムスタンプの付与など、スキャナ要件の確認が可能 ・電子帳簿保存法に対応した「仕訳履歴保存」や「マスタ履歴保存」機能が利用可能 |
弥生会計 オンライン | ・電子帳簿保存法に定められた検索要件に対応 |
電子帳簿保存法では、電子データが作成された時刻や改ざんがないことを証明する「タイムスタンプ」を電子文書に付与する必要があります。たとえばfreee会計では、以下のように表示さます。
インボイス制度
各クラウド会計ソフトには、インボイス制度に対応するためにどのような機能が搭載されているか、見てみましょう。
freee会計 | ・経過措置期間用の税区分に対応 ・「適格請求書等」や「適格」チェックボックスが追加 ・アップロードしたレシートや請求書の種類、適格請求書等に該当するかなどの確認が可能 ・AI-OCRによる画像解析機能でレシートのインボイス情報を読み取り、自動入力に対応 |
マネーフォワード クラウド会計 | ・適格請求書発行事業者の登録番号の入力が可能 ・仕訳の「適格」チェックボックスで適格請求書発行事業者との取引かどうかの確認が可能 ・インボイス適用の経過措置に応じた仕入税額控除額の集計に対応 ・消費税の新計算方法に対応 |
弥生会計 オンライン | ・インボイスの仕訳入力に対応 |
インボイス制度では、課税事業者の負担を軽減するため6年間の仕入税額控除の経過措置が作られています。マネーフォワードクラウド会計では、経過措置に応じた仕入税額控除額を集計・表示できる機能が搭載されています。
クラウド会計ソフトで全ての会計業務を無くせるわけではない
ここまで「freee会計」「マネーフォワード クラウド会計」「弥生会計 オンライン」の3製品の特徴や料金・機能などを比較しました。これらの製品を活用して会計業務の効率化は可能ですが、会計業務自体が完全に無くなるわけではありません。そのため会計業務が負担だと感じている方や、より付加価値を生む業務に注力したい一人社長には、オンラインアシスタントとの併用もおすすめです。
タスカルでは事務作業から人事・総務、経理、幅広い仕事をオンラインでサポートすることが可能です。当記事でご紹介した「クラウド会計ソフト」を利用できる経理スタッフの提供も可能ですのでご活用ください。