マニュアルは、業務効率化や質の均一化、属人性を防ぐときに欠かせないものです。一方でマニュアル作成は、作業工程の洗い出しや整理、担当者へのヒアリングなどが必要になるため、作成に時間がかかります。
AIを活用することでマニュアル作成の業務を自動化できるので、作業時間の短縮といった業務効率化が図れます。
しかし帝国データバンクの調査では、52.0%の企業が業務で生成AIツールの活用を検討しているものの、実際に活用しているのは9.1%という結果になりました。AIの活用を検討している企業は多いですが、活用できている企業は未だ少ないことがわかります。
そこで本記事では、マニュアル作成でAIを活用する方法や手順、無料・有料ツール、注意点を紹介します。
参考:生成AIの活用に関する企業アンケート | TDB景気動向オンライン
AIを活用してマニュアルを作成する方法
マニュアル作成でAIを取り入れる方法としては、大別すると以下の2つがあげられます。
- 部分的に生成AIを活用して作成する
- AIを活用したツールで自動作成する
部分的に生成AIを活用して作成する
ChatGPTなど生成AIツールを部分的に利用して、マニュアル作成を効率化する方法です。
例えばマニュアルの構成設計や、文章生成、文章の要約、校正、翻訳などでAIを活用して、生成したデータに人が手を加えます。AIにマニュアル作成のサポートをお願いする方法で、AIで生成した構成設計などをベースとして項目を追加・削除して利用することができるでしょう。
ただし、生成AIツールは学習したデータを基に文章を生成するため、独自性に乏しくなってしまうデメリットがあります。そのため、事務など一般的な業務マニュアルを作成するときに適しています。
AIを活用したツールで自動作成する
AIと連携しているマニュアル作成ツールを利用して、マニュアル作成を自動化する方法もあります。
ChatGPTなど生成AIツールを利用する場合は、どのようなマニュアルを作成してほしいのかを指示しなければいけません。そのため、指示(プロンプト)が的確でないと想定していたマニュアルが生成されない可能性もあります。
マニュアル作成に特化しているツールであれば、手順に沿って操作していけば自動で作成することができるでしょう。
マニュアル作成の手順
一般的なマニュアル作成の流れは、以下のとおりです。
マニュアル作成の流れ
- 目的の明確化:どのような利用目的で作成するのかを明らかにする
- 作成スケジュールの決定:いつまでに必要なのか、作成期間を決めておく
- 業務や情報の整理・精査:情報をまとめ、業務の棚卸しや優先順位を決める
- マニュアルの構成設計:利用者にあわせて構成や表記、フォーマットを考える
- マニュアルの作成:構成に沿って文章・図解を作成する
- マニュアルの運用・更新:内容を確認し運用、変更点があれば都度更新する
部分的にAIを活用する際は、どの工程でAIを取り入れられるかを検討してみるとよいでしょう。
【無料】マニュアル作成ができる生成AIツール
基本的に無料で利用できる、マニュアル作成時に役立つ生成AIツールを紹介します。
ChatGPT
ChatGPT(GPT-3.5)は、OpenAIが公開している文章生成ができるAIツールです。質問を投げかけることで、学習したデータを基に回答します。
例えば、以下のように指示するだけで業務マニュアルのたたき台を瞬時に作成できます。
マニュアルを一から作成するのは労力がかかりますが、ChatGPTを活用すれば出力したマニュアルを土台として修正や追記するだけで大枠が完成します。マニュアル作成の時間短縮の手助けとなるでしょう。
ChatGPTが出力する文章の精度を高めたいときは、有料版の「ChatGPT Plus(GPT-4)」の導入を検討するのがおすすめです。
Bard
BardはGoogleが開発した対話型の文章生成AIツールで、帝国データバンクの調査では、ChatGPTに次いで活用・導入検討されています。質問を入力するだけで、マニュアルの大枠を作成してくれます。
ChatGPT(GPT-3.5)は学習したデータから回答を生成しますが、Bardはリアルタイムの検索データと連携して回答を生成できるのが強みです。
ただし、質問した情報が学習される恐れがあるので、個人情報や機密情報などは入力しないように注意しましょう。
Notion
メモやプロジェクト管理などができるNotionでは、用途ごとにテンプレートが用意されています。マニュアル作成する場合は、以下の「業務手順書」のテンプレートを利用するのが最適です。
引用:業務手順書 | Notion (ノーション)テンプレート
Notionは生成AIツールではありませんが、文章を書くときにAIを活用できます。文章を書くときにアクションメニューで「AIに依頼」を選択すれば、AIに生成してもらうことが可能です。マニュアル作成の説明文を書くのが苦手な方も、安心して書き進められます。社内Wikiを作成する際にも、役立つツールです。
【有料】AIを活用したマニュアル作成ツール3選
AIと連携している有料のマニュアル作成ツールを3つ厳選してご紹介します。
トースターチーム
引用:トースターチーム
トースターチームは、AIでマニュアル作成管理ができるツールです。作成したいマニュアルの名称を入力するだけで、AIが構成や見出し、説明文を自動で作成します。
ツールで作成したマニュアルを確認し、必要に応じて修正すればよいので、マニュアル作成の時間を大幅に短縮できます。
初期費用 | 100,000円(全プラン共通) |
料金プラン |
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無料プランの有無 | 〇(14日間トライアル) |
ManualForce
引用:ManualForce
ManualForceは、Webブラウザ上での操作を記録してマニュアルを作成できるツールです。ChatGPTを搭載したAIサジェスト機能を利用できます。AIサジェスト機能では、タイトルや説明文を自動で生成することが可能です。
無料でも利用可能ですが、無料プランではAIがサポートしてくれるサジェスト機能が利用できないので、留意しておきましょう。
初期費用 | ー |
料金プラン |
|
無料プランの有無 | 〇 |
Teachme Biz
引用:Teachme Biz
Teachme Bizは、マニュアル作成や管理ができるツールです。自動翻訳やマニュアルを使ったトレーニング機能など、マニュアル作成のほかに組織づくりに必要な機能を備えています。
ChatGPTと連携した「AIアシストプラス(β版)」機能では、マニュアルを作成した業務などに関連するキーワードを指定すことで、構成や見出し、説明文の作成が可能です。構成設計や説明文の作成をサポートしてくれるので、工数削減につながります。
初期費用 | 要問い合わせ |
料金プラン |
|
無料プランの有無 | 〇(トライアルあり) |
AIを活用してマニュアルを作成する際の注意点
AIを活用するとマニュアル作成業務の短縮や効率化に役立つ一方、デメリットもあります。マニュアル作成でAIを活用する際に注意したいのが、以下の点です。
- 情報の精査が必要
- 情報漏洩のリスクがある
AIは学習したデータから文章を生成するため、誤った情報をあたかも正しいように出力すること(ハルシネーション)があります。必ず情報の正確性を人の手で確認しなければいけません。
また、仕様書などの情報などをAIに読み込ませる場合は、情報漏洩のリスクがあります。AIは入力された情報を学習データとしてインプットするため、自社の情報が外部に流出してしまう恐れもあるのです。
「情報の精査に時間が取られてしまう」「情報漏洩は心配だが、作業効率を上げたい」といったお悩みがあるときは、マニュアル作成をアウトソーシングするのもひとつの手段です。
AIを活用してマニュアル作成業務の効率化を図ろう
工程の整理やヒアリングなどが必要になるため、マニュアル作成は労力がかかります。しかし構成設計や文章要約など生成AIツールを部分的に利用したり、AIと連携したマニュアル作成ツールを活用したりすることで作成業務の効率化が図れます。
AIをうまく活用しながら、マニュアル作成作業の効率化を実現して、会社の生産性を向上させましょう。
なおタスカルを利用している企業様の中にも、マニュアルを作成することでアウトソーシングの効率化が図られたとのことです。詳しい導入事例は以下をご覧ください。